購入と賃貸の損益分岐点を見抜くうえで不確定要素は「●年後にいくらで売れるか」だけです。
本当に簡単な計算式なのですが地味にめんどくさいのでここまでやってくれる不動産営業マンは私の知る限りほとんどいません。
(不動産営業マンは細かい作業・めんどくさい地道な作業が嫌いで算数が嫌いな人が多い業界なので)
先日知人にアドバイスした例です。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
購入検討者(20代夫婦)
年収:900万円・800万円
家賃:25万円(共益費込み)→家賃補助が10万円出ていて自己負担15万円
現住居:武蔵小杉のタワーマンション(55㎡)
相談内容:購入してとしても長くて10年で引っ越すと思うんだけどそれだと賃貸と購入でどちらがお得なのか知りたい。
ちょうど賃貸として住んでいるマンション内で70㎡で8,000万円の募集住戸があり、それと比較
パターンA:4年比較(購入して4年で売る)
◆購入の支払い
購入時経費(仲介手数料・登記費用等)=560万円
4年間の住宅ローン返済額(借入金額8000万円、金利0.47%、元利均等、35年)=992万円
4年間の管理費・修繕費・固都税=200万円
売却時経費(仲介手数料・登記費用等)=270万円
合計:2,022万円
◆売却益
※4年後(48カ月後)の住宅ローン残債は7,151万円
①10%増(8,800万円)で売れた=売却益1,649万円
➁ 5%増(8,400万円)で売れた=売却益1,249万円
③ 同額(8,000万円)で売れた=売却益849万円
④ 5%減(7,600万円)で売れた=売却益449万円
⑤10%減(7,200万円)で売れた=売却益49万円
◆その他
住宅ローン控除が2人とも年間20万円の4年間で160万円の税金還付
<総支払額>
①の場合
2,022万円(支払総額)ー1,649万円(売却益)ー160万円(税金還付)=213万円
➁の場合
2,022万円(支払総額)ー1,249万円(売却益)ー160万円(税金還付)=613万円
③の場合
2,022万円(支払総額)ー849万円(売却益)ー160万円(税金還付)=1,013万円
④の場合
2,022万円(支払総額)ー449万円(売却益)ー160万円(税金還付)=1,413万円
⑤の場合
2,022万円(支払総額)ー49万円(売却益)ー160万円(税金還付)=1,813万円
◆4年賃貸の支払総額
15万円×48(4年間家賃)+15万円(1回分更新料)=735万円
【結論】
8,000万円で購入した物件が4年後に8,278万円(約3.4%UP)以上で売れれば購入の方がお得
パターン➁7年比較(購入して7年で売る)
◆購入の支払い
購入時経費(仲介手数料・登記費用等)=560万円
7年間の住宅ローン返済額(借入金額8000万円、金利0.47%、元利均等、35年)=1,736万円
7年間の管理費・修繕費・固都税=350万円
売却時経費(仲介手数料・登記費用等)=270万円
合計:2,866万円
◆売却益
※7年後(84カ月後)の住宅ローン残債は6,504万円
①10%増(8,800万円)で売れた=売却益2,296万円
➁ 5%増(8,400万円)で売れた=売却益1,849万円
③ 同額(8,000万円)で売れた=売却益1,449万円
④ 5%減(7,600万円)で売れた=売却益1,049万円
⑤10%減(7,200万円)で売れた=売却益649万円
◆その他
住宅ローン控除が2人とも年間20万円の7年間で280万円の税金還付
<総支払額>
①の場合
2,866万円(支払総額)ー2,296万円(売却益)ー280万円(税金還付)=290万円
➁の場合
2,866万円(支払総額)ー1,849万円(売却益)ー280万円(税金還付)=737万円
③の場合
2,866万円(支払総額)ー1,449万円(売却益)ー280万円(税金還付)=1,137万円
④の場合
2,866万円(支払総額)ー1,049万円(売却益)ー280万円(税金還付)=1,,537万円
⑤の場合
2,866万円(支払総額)ー649万円(売却益)ー280万円(税金還付)=1,937万円
◆7年賃貸の支払総額
15万円×84(7年間家賃)+30万円(2回分更新料)=1,290万円
【結論】
8,000万円で購入した物件が7年後に7,800万円(約2.5%減)以上で売れれば購入の方がお得
パターン③10年比較(購入して10年で売る)
~省略~
【結論】
8,000万円で購入した物件が10年後に7,399万円(約7.5%減)以上で売れれば購入の方がお得
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
この●年後にいくらで売れるかというのは過去の事例を見れば予想がしやすいです。
特にマンションであればそういった事例のデータがあります。
データを見ると、
「築年数が経過しているのに値段が下がっていない」という事実が分かったりもします。
※もちろん都心部であればあるほど顕著に”築年数が経っているのに値段が上がっている”動きになります。
ですので
どこで、どういう物件を買いたいかのイメージさえあれば
購入と賃貸の場合の支払い面での比較は簡単にできるのです。
また購入して住宅ローンを組めば<団信>という生命保険も同時加入となりますし、
購入したほうが当然、建物の設備グレードや共有部のグレードも上がります。
住宅購入のファーストステップである
<賃貸vs購入>はこういった形でプロにご相談いただければ詳しいデータも提供できますし、
的確なアドバイスも可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。
齋藤