2023-01-27
離婚する際、「財産分与」という夫婦で築き上げた財産を分配する手続きをおこないます。
分配する財産には、現金や有価証券だけでなく生活するために購入した家も含まれますが、家は物理的に分けることができず、財産分与の際にトラブルになりやすい財産です。
このような場合、家を売却して現金化せずに夫婦のどちらか一方が住み続ける選択を取ることも少なくありません。
そこでこの記事では、離婚で家を財産分与する方法や手続き、住み続けるメリット・デメリットについてご紹介します。
財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を、離婚する際に夫婦で分ける手続きのことです。
婚姻中に家を購入している場合、家の名義が夫婦のどちらか一方であったとしても、財産分与の対象となります。
離婚で家を財産分与する方法は、主に以下の2つです。
離婚するときにスムーズに財産分与を進めたいとお考えであれば、家を売却し、売却で得た代金を夫婦で分けることをおすすめします。
家を売却して現金化すれば、スムーズに財産分与を進めることができるだけでなく、住宅ローンの支払いなどの問題もなくなるため、離婚後の家に関するトラブルに巻き込まれるリスクを下げることが可能です。
その一方で、家の売却価格が住宅ローンの残債を下回る「オーバーローン」となってしまうと、任意売却の対応が必要となるなど、スムーズに売却できなくなってしまいます。
離婚の際に家を売却する場合は、不動産会社と相談しながら売却を進めていくようにしましょう。
夫婦のどちらか一方が離婚後も家に住み続ける場合は、家の評価額の半分を現金や同等の財産を渡すことで財産分与をおこなう方法があります。
この方法での財産分与をおこなう場合は、住宅ローンの有無によって計算方法が異なるため、注意が必要です。
たとえば、家の評価額が3,000万円で、住宅ローンの残債が2,000万円である場合、財産分与の対象となるのは評価額の3,000万円から残債の2,000万円を差し引いた1,000万円となります。
そのため、夫婦のどちらか一方が家に住み続ける意思がある場合は、500万円を相手に支払うことで引き続き同じ家に住むことが可能です。
離婚後、夫婦で購入した家に住み続ける場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
離婚後も家に住み続けるメリット・デメリットを確認していきましょう。
離婚後も家に住み続けることは、子どもにとってもメリットのある選択です。
同じ家に住み続けることができれば、転校や転入をする必要もなくなるため、子どもは生活環境を変えずに暮らすことができます。
その一方で転校や転入をおこなうと、生活環境や交友関係が大きく変わってしまうため、子どもにとっても大きな負担となってしまうでしょう。
「子どもには迷惑をかけたくない」とお考えであれば、同じ家に住み続けることも選択の1つとして考えることをおすすめします。
家の所有者が夫のまま妻子が住み続けるというケースは、メリットを考えると少なくありません。
家を売却してしまうと、新たな家を購入したり賃貸したりする必要があるため、経済的に大きな負担となってしまいます。
そのため、離婚後も同じ家に住み続けることができれば、家賃がかからず負担を大幅に軽減できるでしょう。
ただしこのケースを選択する場合は、離婚後の夫婦関係がとても大切となるため、夫婦の関係が悪化してる場合は、選択できないことが考えられます。
また、夫が住宅ローンの支払いを滞納してしまったり、売却してしまったりすると退去を要求される可能性がありますので、注意が必要です。
家の名義変更をおこない住み続ける場合は、ご自身で住宅ローンを支払い続ける必要があります。
婚姻中は配偶者が住宅ローンを支払っていた、夫婦で折半で支払っていたという場合では、月々の支払い額が上がってしまい、家計への負担が大きくなってしまいます。
万が一、支払いが続けられなくなってしまうと、家の差し押さえや自己破産にまで発展してしまう可能性があるため、ご注意ください。
最後に、離婚後も家に住み続ける場合の手続きをご紹介します。
この手続きは、誰が債務者(住宅ローンの融資を受けている方)であるか、誰が住み続けるかによって手続きが異なるため、1つずつ理解していくようにしましょう。
債務者が離婚後も家に住み続ける場合で、配偶者が連帯保証人になっているのであれば、連帯保証人を変更する手続きが必要です。
連帯保証人に配偶者を設定している場合、債務者が住宅ローンの支払いを滞納してしまうと、配偶者が債務者に代わって住宅ローンを支払わなければいけません。
「離婚したから自分には関係がない」とはならないため、必ず連帯保証人の変更をするようにしましょう。
万が一、連帯保証人の変更が認められない場合は、住宅ローンの借り換えが必要となるため、まずは金融機関に相談することをおすすめします。
金融機関は、債務者が居住することを条件に住宅ローンの融資をおこなうため、債務者ではない名義人が住み続けるとなると、住宅ローンの一括返済を求められる可能性があります。
名義を変えずに債務者ではない配偶者が住み続ける場合は、必ず金融機関に事前の相談をおこない、承諾を得る手続きを取るようにしましょう。
また、金融機関の承諾が得られたとしても、債務者が住宅ローンの支払いを滞納してしまい、家を差し押さえられてしまうリスクが残ります。
差し押さえされてしまうと家を競売にかけられてしまい、強制的に退去されてしまうおそれがあるため、ご注意ください。
夫婦2人が共有名義で債務者となって住宅ローンを借りている場合、離婚が原因で夫婦のどちらか一方が家から出ていくと、契約違反となり金融機関から融資の一括返済を求められるおそれがあります。
そのため、共有名義の家に夫婦のいずれかが住む場合は、金融機関から許可を得るか、名義変更をおこなう手続きが必要です。
ただし、物件を共有名義のままにしてしまうと、売却や相続が発生した場合にトラブルが生じてしまうおそれがあります。
そのため、共有名義の家は、離婚する際に単独名義にすることをおすすめします。
今回は、離婚で家を財産分与する方法や手続き、住み続けるメリット・デメリットをご紹介しました。
家は物理的に均等に分けることができないため、離婚時に夫婦同士で財産分与の方法でトラブルになってしまうことも少なくありません。
また、住宅ローンの残債が残っている場合は、名義人の変更や金融機関との協議などが必要となります。
そのため、離婚で家を財産分与する際は、家を売却して現金化するほうが、スムーズに財産分与を進めるほうが可能です。
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